お忙しいところ申し訳ありません、
メールでお尋ねさせていただきます、つい最近まで家の近くの歯科で治療を受けておりました。治療を受けるきっかけは、今迄詰めてあったものが外れたためです。

外れたものもありましたので、ちょっと付けてもらうつもりで行きましたが、他に悪いところもあると10回に渡り6箇所か7箇所の治療をしたと思います。

治療する度に噛み合わせが悪く、神経がイライラすると言うか、不安になる感覚が強く、そう告げて直してもらっていました。治療は終了しましたが、やはり治療前の噛み合わせとは違っている感じで、違和感を感じ、時々イライラ感、不安感を覚え神経が疲れる状況です。この感覚は今迄の私には経験のない不快なものです。

通っていた歯科には不信感もあり相談できません。

こう言った状況は我慢していれば慣れて直るのでしょうか、それとも他の歯科で見てもらった方がいいのでしょうか、噛み合わせは神経的や精神に影響があるのでしょうか、そういった治療を専門にいていらっしゃる病院はありますか。 私は39才の会社員、営業職です。アドバイスいただければ幸いです。
突然メールで申し訳ございません、何とぞよろしくお願いします。

文面から、想像すると、「口腔神経症」の可能性があります。
根拠を述べます。

まず前提として。その歯科医が、平均以上の技術水準を持ちあせていたとして、治療が完全であったとします。

私の推論です。

(1)あなたは、詰めていた物が外れた為に、そこだけの治療のつもりで、すぐに、終わると軽い気持で歯科医院を受診した。

(2)インフォームドコンセントのないまま、10回にもわたって、治療された。(それには、医学的根拠があったにも、かかわらず、あなた自身は必要性を感じなかった。=インフォームドコンセントの失敗)。結果的に、あなたは、同意のないまま、不本意に治療を受けつづけたが、性格上言い出せなかった。

(3)徐々に、あなたは、その歯科医の治療に疑問を感じながらも受診しつづけた。毎回、不信は募っていく。結果として、強い不信を抱くようになった。

(4)ちょっとした治療後の噛み合わせの違和感と、主治医に対する不信感から心的葛藤がおこった。

(5)心的葛藤(心因的原因)が不安感や、イライラ感を生み出していくが、あなたには、その不信を解く手立てがない。しかし、自立神経系の障害(めまい、頭痛、吐き気、等の身体的障害)までは至っていない。

(6)そのことが気になって、噛み合せのおかしさが、全部おかしいような気がしてくる。治療を受ければ受けるほど不安感が広がる。日常生活で、ふっとそのことがよみがえると、イライラし、将来に不安を覚えるが、どうしていいかわからない。

もし、上のような推定的経緯に該当するなら、あなたの症状は「口腔神経症」の可能性があります。
さらに、身体的な障害に至ると「口腔心身症」へと発展します。

解決策です。

その先生に対し、信頼関係がない以上転院してください。
信頼の置ける(人に紹介してもらってもいいですし、大学病院でもいいです)歯科において、噛み合せの不備、あるいは、噛み合わせがおかしいということを、訴えられて、咬合関係を必要に応じ治療してもらい、改善するかどうか様子を見てください。

その結果、まったく精神的不安が解決できない場合は、精神科、脳神経科、心療内科を尋ねられ、経緯を説明の上カウセリングを受けられ、指示に従ってください。

「口腔神経症」の治療は、一般に。基盤になっている、現在の不安と緊張に対する対応が優先されます。精神療法、心理療法にあわせて、緩和精神安定剤、抗鬱剤による、薬物療法の併用が有効とされています。

まとめです。

噛み合わせの不備そのものが直接、精神的不安や、イライラ、焦燥感を招くことはありませんが、ドクターに対し不信感があるまま治療を受けつづけたりすると、引き金になることがあります。精神的症状が、ほんとうに、噛みわせによる原因か、どうかを見極めることが大切になります。

医療不信が、噛み合わせが悪いと思いこむ可能性があります。一度思いこんでしまうと、実際に噛み合わせが悪いと思い込むようになります。
医療不信という精神的要因が、口腔内に器官的障害をもたらすようになる訳です。

つまり、心因性の身体的機能障害を器官神経症と呼びますが、これが、口腔内に発現すると「口腔神経症」と呼ばれます。

放置すると、不安や葛藤が持続し病的不安へ発展する可能性があります。
少なくとも、現在心理的精神的症状があるわけですから対応する必要があります。


一般に、心理的に意味のある刺激(不本意な治療など)を受け入れてしまう自身の性格(パーソナリティー)が関連していき、症状が憎悪することが、報告されています。

性格的要素も関係しますので、不信な場合は、その都度説明を受け治療を受けられることをお奨めします。けど、それができない、性格だったりするので・・・つまるところ、ドクター側のインフォームドコンセントの問題ではあるのですが・・・



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