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>male
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>はじめまして。
>興味深いホームページ楽しく拝見させて頂きました。
>一つお聞きしたいことがあるのですが、最近病院等では、院内感染等の問題が話題となっておりますが、歯科医においての院内感染予防には、どういった対策を行っておられるのかお教え頂きたいのですが?
>突然の質問ですが、お願いいたします。
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素人の方で、院内感染と言う言葉を知っている方は、なかなかいらっしゃらないのですが、医療関係の方でしょうか?

院内感染と言うのは、医科の分野ではとても大きな問題になっています。

最大の問題は、手のひらや、皮膚にごく普通にいるMRSAと呼ばれる、抗生物質の効かない、ぶどう球菌の出現の問題です。
免疫力の弱いお年寄りや、治療により、免疫力が低下された方が、病院内において、医療関係者や、器具から簡単に、感染をうけ、その事によりより重篤な状態に陥ったり、場合によっては、生命の危険に陥ったりしますが、この院内感染を防止することは、極めて難しく、医療現場では、大きな問題となりつつあります。
時に、訴訟問題まで発展する事例もあり、社会問題化しています。

しかし、順次、対応がなされつつある、ないしは、そういう問題を認識した対応がなされています。

歯科では、MRSAなどが問題となるのは、大学病院など、入院施設のある医療機関です。

さて、一般的開業医では、別の意味で、院内感染が大きな問題となっていますが。こちらは、ほとんど、対応できていないのが実態です。

ほんだ歯科のホームページ内でも院内感染の問題に関し、かなりのコンテンツを割いています。
http://www.honda.or.jp/honda/kansen.html
この項目には、歯医者における院内感染に関する情報と詳細について、述べております。御参照ください。

歯医者で起こる院内感染症としての、大きな問題は、主として肝炎です。
特に、問題となるのは、C型肝炎で、感染すると、劇症肝炎あるいは、高い頻度で、肝癌への移行が心配されます。
また、有効な治療法がありません。対症療法や最近では、インターフェロンが有効とされていますが、副作用も強く医療費もかかります。
肝炎は、その他、慢性肝炎を引き起こすA型、B型などもあり、一般の方の罹患率も結構高く注意が必要です。

歯医者に治療に行って、感染する危険性は、大いにあると考えます。
また、歯科医や衛生士、歯科助手が、感染する機会が多く高い専門的知識が必要です。

その他に、最近では、エイズも問題となりつつあります。エイズ感染者は、増加傾向にあります。

このような、ウイルス性疾患は、おおむね、血液を介して感染します。また、治療法が根本的に難しいという特徴があります。

通常歯科医院内は、患者の、唾液、血液に接する機会は、いつもあります。特に、ドクターが素手で治療を行なうケースでは、間違いなく、患者の口腔内から口腔内へ、ウイルスを運ぶようなものです。
あるいは、一般歯科では、経費節減のため、まったく医学的知識のない素人を助手として使い、スケーリングやお口の型取りをさせるところがあったりします。いくら、手洗いを励行したとしても、毎回完璧であると言う保証は、まったくありません。
また、タービンと呼ばれる歯を削る道具を用いますが、圧縮空気を用いるために、患者さんの半径1メートル内は、その飛沫に暴露されています。その後、その目に見えない飛沫は、室内を浮遊する事になります。
また、唾液や、血液で汚染した入れ歯などを、調整時に削ると、目に見えない、削りかすも室内を浮遊することとなります。
また、歯を削るバーと呼ばれる道具は、ダイヤモンドの細かい粒子よりなり、そこに付着した血液を、完全に消毒することはとても、困難なことです。

ほんだ歯科での、対応は、ドクターは、もちろんのこと、衛生士をはじめ他の職員にも、教育し、常に、感染防御に対応しています。

院内の空気は、エアーコンの横に取り付けられた大型の医療用空気清浄器(三共エアーテック製)を取り付け、治療により発生する飛沫や粉塵をできる限り全て、吸収さし、粉塵や、バクテリアなどを、ろ過した空気が院内を循環するシステムになっています。

院内では、床下から上に向って空気清浄器に吸い寄せられるような、気流が発生する構造になっています。

ドクターをはじめ技術系スタッフは使い捨て手袋とマスクの着用を、義務づけ、切削器具は、十分な消毒には、大変時間がかかるため、たくさん用意しておき、患者1人につき一日一回だけの使用した後消毒に回されます。

消毒システムは、ウイルス性疾患にも対応する消毒システムで、で対応しています。

また、日々の医療汚染廃棄物は、処理を、毎日専門業者に委託しています。
もちろん、コップなど患者さんが、直接お口に触れるものは、できる限り使い捨てにしています。

ただ、このような、徹底した感染防御システムを、完備している歯科医院は、ほとんどないのが実態です。

理由は、コスト的に引き合わなくなるからです。もう一つは、医院を作る時に感染防御に対応した設備をしておかねばならず、途中から完全なシステムを作ることは、難しいことなどがあげられます。

設備投資も、ほとんど目立たないところに、お金をかけねばならないし、使い捨て手袋や、マスクなど消耗品などには、従業員全てとなるとランニングコストも、大きくなり、経営を圧迫するからです。

ほんだ歯科では、使い捨て手袋や、コップなどは、直接海外から大量輸入するなどして、コスト削減に努め、完全な感染防御システムを、維持しています。

従業員をあえて、教育しないところさえ、あります。理由は、その時間がもったいないことと、従業員が感染を恐れた場合、当然手袋やマスクの着用を要求してきますから、膨大な費用がかかります。
危険なのは、そういう事に無知な患者、さらに危険なのは、無知で、無防備のまま働かされている従業員であったり、アルバイト職員であったりします。
そういうところに限って、ドクターだけがゴム手袋とマスクをしています。

古いドクターになると、いまだに素手でやっておられるドクターや、(患者さん側にも、その方が暖かみがあるとか、勘違いされている方がおられます)バーを使い回ししているところなども、いまだに多くあります。私なら、怖くて、治療してもらおうと言う気にさえなりません。

ほんだ歯科のように、完全な、院内感染から患者さんや、従業員を守るため
には、患者さん一人当たり250円から300円くらいのコストががかかってきます。保険診療内では、これに関わる費用を請求することができないために全額、医院側負担となります。

受益者負担と言う見地から、保険請求できるようになれば、いいのですが。
また、この取り組みは、医院の経営方針と、院長の医学的認識により、まちまちで、患者さん側からは、まったく分からないのが実状です。

厚生省などが、感染防御のための最低限の基準を設けて指導していくことが必要かと思います。
今のところ、歯科医院における、院内感染防御に対する規制は、まったくありません。
こういった問題は、医療機関として、治療以前の問題だと思うのですが、問題が、表面化しにくいことと、費用がかかることから、立ち後れているのが実態で、今後の課題であると考えます。


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