自己臭症の方への指導の仕方

東京歯科大学歯科保存学第二講座 助教授 角田正健

1.自己臭症とは:他の人の嗅覚に訴える程の臭気がないにも拘わらず、自己の口の臭いに必要以上に拘るもので、真の口臭ではない(図1)。

2.自己臭症の性格特性:
(1)神経症的自己臭症:日常生活で欲求不満や葛藤を起こしやすく、過度に理想主義であったり、完壁主義の人に多い。集団社会への適応にやや欠く傾向にあり、対人関係が旨くいかない原因を他に求める。口臭もその一つとなる。(2)心身症的自臭症:おとなしく内向的であり、周園の人々ヘの思いやりの強い人、引っ込み思案ではっきりしない人に多い。周囲の方に迷惑をかけるとの恐れから、行動が消極的となる。
3.自己臭症の治療:即座に口臭を否定することは逆効果となる。訴えを十分に聞いた上で口臭の程度を判断し、簡易精神療法、薬物療法、自律訓練法などが必要となる。

参考文献
1.官崎秀夫、他「口臭,デンタルハイジーン」16(6):501〜536,1996。
2.角田正健、他「口臭-見えない審芙、デンタルダイヤモンド」24(2):29〜46,1999。
3.内田安信「歯科心身症の珍断と治療」医歯薬出版、束京、1986。
4.角田正健「サヨナラお口の臭い」医歯薬出版、束京、1995。



                           図1