高齢者の日臭の原因は

愛知学院大学歯学部歯科補綴学第三講座 教授 伊藤 裕  講師 村上 弘

 一般に、口臭は口の中に棲息する多くの細菌が関係しています。これらの細菌が関与してタンパク質などの分解が起こり、その結果として、臭気物質(揮発性硫化物)ができます。したがって、清潔な口の中では、その量が少ないので、他人に口臭と感じさせることはありません。
しかし、口の中が不潔で、清掃がされていないと細菌が増加し、歯垢、歯石が沈着し、口臭の原因となる様々な口の病気に罹ります。口臭の原因となる口の病気の主なものには、歯周病(歯槽膿漏)、舌苔(舌の上につく自い苔状のもの)、虫歯などがあり、特に高齢者の方では、口の様々な筋肉の機能低下や唾液量の減少によって、口の中の清掃性が悪くなり、口臭をより強くする原因となります。また、義歯も不潔なまま使用していると、嫌な臭いを発するようになります。その他に、鼻咽腔、呼吸器、消化器疾患や糖尿病などの内科的疾患による口臭、時には精神的な口臭もあります。

 参考文献:角田正健著「サヨナラお口の臭い」医歯薬出版株式会社.