気になる口臭撃退に強い味方
九州大学歯学部が専門クリニック

 「口臭が気になるんです。」こんな悩みに測定器を使って答えてくれる「口臭クリニック」が福岡市に登場した。九州大学歯学部附属病院が1998年10月に開設したもので、原因を特定する専門機関。口臭で悩む人の中には実際にはほとんど臭わないのに口臭が強いと思い込んでいる「錯覚派」も少なくない。数値で判定結果が出れば、まずはひと安心。他人に相談しにくい悩みだけに、クリニックは強力な"援軍”となりそうだ。

 九大病院5階にある口臭検査室では、歯科医3人が口臭で悩む外来患者を対象に、火,木曜日の週2回、診察に当たっている。
口臭は口内に繁殖した菌が蛋白質を分解し、「揮発性硫化物」とや呼ばれる悪臭の元が発生するのが原因といわれる。クリニックでは簡単な測定器で口臭があるかどうかを診断、硫化物の量が一定値を超えた場合、他人に不快感を与えるという。

九大歯学部の古賀敏比古教授(予防歯科学)によると、
@歯槽膿漏などの歯周病
A歯磨きが悪いなどの理由で歯垢がたまっている
B舌の表面に舌苔(ぜったい)が
付着する−などが口臭の原因となり、歯垢の除去などを通じて口臭を撃退するのが治療法だ。

 クリニックが開設されたのは10月27日。オープン間もないとあって、訪れたのは14人と少ないが、うち、半数は口臭がほとんどなく、自らが思い込んでいる医学的には「自臭症」と呼ばれる症状だった。
同クリニックを訪れた福岡市内の中年の女性も「自臭症」と診断された一人。人と接する機会が多い職場で勤務しており、「日ごろから、自分に口臭があるのでは」と思い込んでいたが、診断の結果、他人が不快感を感じるほどの口臭がなかったという。
 
 自臭症の場合、対人恐怖症に陥るなど深刻な症状も多く、カウセリングなど治療に時間がかかるケースも多い。

 古賀教授は「口臭はだれにでもある。歯磨きなどきちんとしていれば、そんなに気にする必要がない」とアドバイスする。
                                               日本経済新聞98.12.5