簡易口臭チェッカーの結果におののく患者さん。40代後半女性。

20年来の自臭も、ほぼ解決、メインテナンスに移行することになった患者さんです。

簡易型の市販の口臭チェッカーをいくつも買われています。(口臭治療中にいくつも購入されています。)

娘さんに口臭を確かめてもらうと、「異常ない」、近くの鍼灸の先生にチェックしてもらうと「息の臭いだけで、とく不快でない」といわれるとのこと。嘘を言っているのではないかと疑っておられました。

しかし簡易チェッカーで、いまだに、黒い色(口臭がある)という判定が出るたびにおびえてしまう。

人の判定は、その人を傷つけないように言っているかもしれない、機械の判定と人の判定の間で自分はとても悩んでしまって、チェッカーの結果を見るたびに憂鬱という訴え。

どうしても、黒と出ると怖くて仕方がない。色違いで数個購入されたが全て同じ結果に。

口臭治療で、自信を持てたのに、治っていないのではないかと思うと不安と憂鬱という相談。

一個3000円程度の口臭チェッカーでした。

液晶にハートマークがいくつか出て、黒いマークが出ると「口臭あり」ということらしい。
そこで、スタッフと私の口臭を、患者さんに口元で嗅いでもらった。歯科衛生士3人と私の合計4人。

患者さんの判定で、口臭がないことを確認してもらった。(患者さんの鼻先に、私達の口を持っていき息を吹きかける方法によって行なった)

そこで、患者さん持参の市販の口臭チェッカーで測定したところ。私を含む2人が、黒と判定された。
数分後、もう一度行なうと、私は白と判定された。別の歯科衛生士が「やや口臭あり」。
もう一度行なうと、全員が「ハート(口臭なし)」という判定。

患者さん自身では、早朝時口臭があるはずの時、ハート(口臭なし)判定。その後活動をはじめると「黒(口臭あり)」と出るらしい。

患者さんの口臭チェッカーで、黒と出た直後に、現在テスト中の長時間型即効性のある消臭うがい液でうがいをしてもらった直後で、さいど、そのチェッカーで判定しましたが、やはり「黒(口臭あり)」と判定されました。

ちなみに、黒と出た患者さんの口臭を、口臭外来で用いている口臭測定器で計測すると、アンモニア濃度で10ppm以下。すなわち、人の嗅覚細胞では反応しないレベルでした。

この事実は、いかに、市販の口臭チェッカーが精度の悪い不安定なものかを証明しています。

患者さんには、もし、この口臭チェッカーの結果を信じるなら、口臭治療に携わっている我々も、口臭治療を受ける事になるということで、完全に不安を取り除くことに成功しました。患者さんもこの実験には、とても、安心されたようです。急に不安な顔が笑顔に変わりました。

その患者さんは、ひょっとして、口臭チェッカーの精度のミスではないかと思い、同じ製品の色違いを3種類購入され、外出たびにチェックされていたとのこと。

今回の、患者さんを交えた現場スタッフ全ての、実験により、完全に不安が取り除かれ、今後二度とこのチェッカーの結果に惑わされないようにしたいということで、安心されました。

市販簡易チェッカーは、あくまでも医療器具ではなく、おもちゃの範囲でお遊びとして御利用ください。他覚的口臭との相関性は殆ど、再現性がなく不安定なものです。

口臭でお悩みの皆さんの中には、密かに、この結果に一喜一憂され、悩みつづけて心身の疲労を訴えておられる方も少なからずおられるのではないでしょうか。

医科用の数百万円もする精密機器による口臭測定ですら、日周期、測定条件により再現性に乏しく、診断的意義として過信は禁物で、あくまでも補助的診断に用いています。

このような、簡易型口臭チェッカーの結果を、あまり深刻に考えず、単なるおもちゃと考え、惑わされないようにしてください。このような理解の上での使用にとどめてください。



深刻に悩んでおられる口臭患者さんに取っては、精神衛生上きわめて、深刻な影響を与える可能性があります。

あくまでも、口臭の最も優れたチェック方法は、身近な人に直接口臭を嗅いでもらう方法が最も信頼できます。


今後の課題研究として、口臭チェッカーの精度のついて、現場で検証を行なって行きます。
結果はレポートとして報告します。