お地蔵様、ほとけ、菩薩

お地蔵様は、たいがい無口であります。
目は開いているようで開いてない
半眼の構え
必要最小限をおしゃべりになります。
心と心でお話せねばなりません


修行中のお地蔵さんの場合

Dr. 「今日は、どうされましたか?」
お地蔵様 「............」(一瞬くもったような...)
Dr 「おいたみですか?」
お地蔵様 「ここ」(という感じで指で差し示されます。)
Dr. 「なーるほど、はぐきがいたいんですね...
 赤く腫れてますね....」
お地蔵様 「..........」(一瞬、目尻にしわ)
Dr. 「これは、歯周病ですね。でも、心配要りませんよ.....
 抜かないからね....
 歯を抜かない変わりに原因を取っていきましょうね」
お地蔵様 「...............」
(一瞬口元ががゆるんだような..)
Dr. 「その前に、歯槽膿漏について、原因を
 一緒に考えてみましょうよ......」

世間話などを交え、歯周病の話、現在のお口の状態やら、

痛みの原因やら、治療の仕方やら、ついでに

「痛くない治療をしますね」などと

リップサービスなどして、不安を取り除きます。

ひょっとして、耳が遠いのではと。。。。

耳元で、おもいっきりでっかい声を出してみる....

一瞬、目が、かっと見開く

<すっ、すみません.鼓膜に響きました?>

<返事、して〜な。あんたの体やで〜>

依然として反応無し、黙して語らず....

こういう方は、どうなんでしょう?

元々無口でいらっしゃるのか?


無視なさってるのか?怖いのか?

インフォームドコンセントにとても時間がかかります。

でも、だいじょーぶ

3回ほど通って頂けましたら

みな、ヨーしゃべるようにならはります。




あのね〜きょうびの地蔵さんはね、

みな、ようしゃべるし、愛想もええで、

おまけに、金まで貸してくれます。

歯医者じゃね、どっかのおばはんみたいに

じゃべりすぎんのもあかんけど

しゃべらんのは、もっとこまるわ!

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

無利子で、ある時払いの催促なしで

貸してくれへんかな....

そやけど....

この地蔵の口車にのったら

えらい目にあうで、あかんで〜

地獄まで、ついて来よるで〜

君子危きに近寄らずや





さて、みなさん 仏さんもいらっしゃるんで


今度は、仏さんみたいな場合


お年寄りなどでは、生きていらっしゃるのかどうか

不安になることがあります。

特に、注射の後とか.....

突然無口になり、仏様のように動かず黙られてしまうと

凍りついちゃいます。

偶然にも天に召される時が、

ほんだ歯科のチェアーに、寝転んだ

その時だったりしたら !!....



アンビリーバーボー!!


オーマイガー!!の世界です



ーシャレにもならへんで!いきてんのかいな?−

顔では、平然としていても

私の心臓は、↓↓↓



<だっだいじょーぶやろな>
<なんも、やばいことしてなかったよな?>

−こういう場合は、意識が遠のかないように声を掛け続ける!!−

浮遊しかけた魂が戻ってきます



時々うなずかれるのと、忘れた頃につかれるため息が

バイタルサイン(生きている証拠)

ほっとします。

−もう!びっくりささんといてや〜-

-面の皮厚いわりに気は、小さいねんから!−




・・
お地蔵様も徳を積まれますと菩薩となります。


次は、菩薩様の場合


ひさかたの光りのどけき、春の日に

菩薩様にお目にかかりますと

少し心が豊かになります。

いまでも、月一度、おめにかかる。

徳の高い地蔵菩薩様です。


Dr. 「サー、入れ歯がでけたよ!入れてみましょうか」
菩薩様 「...................」
Dr. 「どないですか?どこかお痛いとこありませんか?」
菩薩様 「う〜う〜このあいだからな。」
Dr. 「はい、はい、」(久しぶりのお言葉にうれしくなります)
菩薩様 「ひざが いと〜てな(痛くて)あるかれへんねやわ..」
Dr. (ドテッとなるのをこらえつつ)

「あっ、そう〜。としいったら、誰でもやで〜、きーつけてな〜。

 ぼくなんかな!いつもな 
 
 頭いたいねん!(近親感をアピールします。=同病相憐れむ)
 
 ほんでな〜、いま、入れ歯を入てみたんやけど、
 
 噛んでみて、いたいところは、あらへんやろか?」

菩薩様 「は〜??はいってまんのか?

 はいってへんのとちゃいますやろか?....」

Dr, 「ど〜れ〜見てみるわ!
 
 ありゃ〜 はいってへんで!!おばあちゃん!!
 
 うそ、うそ..うそやで〜ちゃんとはいってるで〜。」

 (....と、おおげさに喜ばす)

菩薩様は、こんな、

くだらないシャレなんかでは

決して、お笑いになりません。

きょとんとされておられます。

達観されていらっしゃいます。

こんな時は、ひとりで、

置いてきぼりをくらい。

しらけちゃいます。


菩薩様 「え〜あんばいや!なんかようわからんけど  
  
 せんせ 〜どうも、おおきに、ありがとさんで〜」

Dr. 「ほな、家に帰って、ご飯食べてみてください。

 どっか、食べて痛いとこ出てくるかもしれへんし

 調整にきてくださいよ。」

菩薩様
「食べる時は、いたいことあらしまへんで。はずすよってんにな」

Dr. 「はずして、食べてたらあかんがな〜

 入れ歯はな、噛めて、なんぼのもんやで〜」

菩薩様 「さよか〜入れ歯は、はずして食べるんとちゃいますんか...」

Dr. 「ちゃうちゃう!!入れ歯は、はめて食べるもんやで、
 
 ちゃんと食べれるまで、調整に、こなあかんよ。

 困ったことあったら、何でも言ってくださいや」

菩薩様 「うちの、嫁がな..........」

Dr.


(⌒▽⌒)



いつも、おみ足が悪いんで、チェアーからおりられる時は

肩を貸して差し上げます。

菩薩様の、和服の襟足から

ほのかに匂うサロンパス+枯れた臭い

なつかしいやさしい暖かい臭いです。

菩薩様は、その後、噛み方の練習を積まれ

調整にも来られ、月一度ボチボチとぼけた感じで

おいでになります。

「せんせ〜入れ歯な〜いたないわ〜、はいってるか見て〜」

「ほな、おおきに、ありがとさんで」


長生きし〜や!




蓮の池をご覧になっていた

お釈迦様も、ふっと微笑まれるのでございます。



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