歯医者さんに関して、最近気になっていることがあります。病院によって、神経を簡単に抜こうとうする先生と、できれば抜かないでなんとかしようとする先生の2通りいることです。
つまり、これが治療方針なのでしょうが、どのような長所、短所があるのか知りたいと思っています。(Y.T.さん)



まず、通常簡単に神経を抜く事はありませんし、保存に努めます。
歯の構造を考えてみましょう。神経の入っている部屋(歯髄腔)には、歯に栄養を送るための血管も入っています。
もし、虫歯菌がエナメル質を破壊して、象牙質に進入した場合。象牙質は実は、歯髄腔と連絡した管の集合になっているため、象牙質が破壊されると、簡単に歯髄腔にばい菌が入ってきます。
その結果、進入したばい菌を、やっつけようとして歯髄腔には、たくさんの血液が集合し(充血)神経を圧迫し、ズキズキとした痛みになるわけです。厳密には、他にも充血を起こす原因は、あります。

放置しておくと、やがて神経も死んでしまい、痛みを感じなくなり、歯髄腔内は、ばい菌でいっぱいになり、やがて、歯の根っこの先から、歯槽骨と呼ばれると呼ばれる骨にまで到達し、骨の破壊が進んで行きます。(ほとんど無症状で進行します。)

やがては、症状が出てきた時は、治療に時間がかかったり、歯を失う運命になります。

それで、歯髄腔にばい菌が入っている(感染が起こっている)と考えられる場合、歯髄腔を殺菌する必要があり、結果として、神経も取らざるを得なくなるわけです。あるいは、痛みを取る目的の場合もあります。

自覚症状が少ない場合、歯髄腔に、ばい菌が到達しているのかいないのかわからない場合があり、神経を取るかどうか選択の余地が出てきます。
神経を抜かず(すなわち歯髄腔は消毒しない)に、象牙質の感染部分だけを取って、死髄を保護して治療し、経過を見る。
この場合、処置後に痛みが、残る場合があります。治療前は、痛くなかったのに、治療後に不快症状が出る事もあります。さらに、もう一度麻酔して、神経を除去して歯髄腔の消毒と言う事になります。

患者さんの苦痛や誤解を招きかねないので、こういう場合は、神経までとって、歯髄腔を消毒してしまおうと言う先生もいらっしゃるかもしれません。

患者側からすれば、治療した事により、痛みが出てきたり、しばらく不快症状が残ってすっきりしない。しばらく経過観察しているうちに、やっぱり、もう一度麻酔して神経取って消毒しましょうと言う事になると。不審を抱かれるケースがあります。

先生も、神様ではないわけですから、こういう、微妙なケースの場合、迷うわけです。

ほんだ歯科では、こういう微妙なケースでは、患者に、説明し再度、神経を取るかもしれない、上記の理由で不快症状があるかもしれない事をを説明し、改善しない場合、再度神経を除去する旨説明し、なるべく神経の保存を試みます。

理由は、神経や血管(歯髄)が生きていると、歯に栄養が送られますので、新陳代謝でき、歯は、みずみずしく、しなやかで、折れたり、変色する事は、ありません。

神経を取ると、歯自体は、死んでしまうため、ただの石灰質の固まりになります。その結果、歯は、黒く変色したり、最終的には、ぼろぼろ欠けていきます。

従って、神経の処置をした場合速やかに、金属の土台を埋め込み、耐久性のある素材で、歯を再構築(かぶせ)する必要があるわけです。

ただ、歯の中の神経を取ったからと言って、噛むと言う感覚は、失われません。死髄の中の神経は、感覚には、関係ありません。

硬いとか、柔らかいとかを識別しているのは、歯の根っこの周り(歯根膜)にある神経です。

ただ、虫歯になって、エナメル歯や象牙質がが、破壊されていたら、しみますし、歯髄腔までダメージを受けていたり、象牙質の損傷が大きいとずきずきとした痛みを起こさせます。これは、歯髄腔内の神経によるものです。
したがって、虫歯で、自覚症状のひどい場合は、苦痛が治まらないので、やむなく神経を取る事もあります。

基本的には、神経をできる限り保存して治療していくのが、最良と思いますが。微妙な場合は、よくドクターと相談をして、神経を取ると判断された根拠を伺うようにされたらいかがでしょうか。




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