はじめまして。私は現在ブリッジを入れる治療をしている27才の女性です。
12才のとき、虫歯で左下の第一大臼歯を抜歯したのですが、良くないことに抜いたまま放置してしまいました。歯石除去のために通院した歯科で、そろそろブリッジにしたほうが良いと言われ、完成したブリッジを2週間前から仮装着しているのですが・・・・・

歯の治療によって噛み合わせが以前と変わり、肩こりや不眠に悩まされています。私はもともと受け口で、奥歯を噛み合わせた時、上下の前歯がカチンと当たるような状態でした。
それが、ブリッジにしたことで以前より強く前歯が当たるような気がします。(少し下の歯が前方に出たようにも思えます)
もちろん、鏡で見ても区別はつかない程度ではありますが、いつも気になって落ち着きませんし、口の中が乾きます。
歯科医は、奥歯の噛み合わせが合っていれば大丈夫と言いますが、本当でしょうか。自分でも、食事などの時は支障がないように思いますが、無意識の時や睡眠時に、力をいれない状態だと奥歯がさわらず、前歯が先に当たっているように感じます。(気にしすぎ?) 意識的に歯を噛み締めた状態では、奥歯はきちんと当たっているようです。

どうしても不安で、知り合いの勧める別の歯科医に噛み合わせを診てもらいました。噛み合う上の歯が少し尖っているので、噛んだ 時にブリッジに当たって下顎がずれるということで、その尖りを落すように少々削られました。その歯科医でも ブリッジ自体を作り直すような状態ではないので、慣れるようにと言われました。

 正しい噛み合わせなのに、肩こりがするのは、もともとがズレた噛み合わせだったからなのでしょうか?これからずっとこの憂鬱な気分が続くかと思うと不安です。
どのくらいで慣れてくるものでしょうか?
いろいろ考えていると将来が不安になって、HPのなかに掲載されていた、「口腔神経症」になってしまいそうです。

正しい噛み合わせのポイントとは何なのか。今後正しい噛み合わせを維持してしていくのに、重要なことは何でしょうか。
15年も抜いたままにしておいた自分の自業自得とは思いますがどうかアドバイスお願いします。

長い間、歯がない状態を過ごした後で、ブリッジなり、入れ歯など、比較的広範囲の修復を行った場合に、修復後に耳鳴り、頭痛、不眠、違和感、めまいなどの症状に悩まされることがあります。

時に、不定愁訴となり「顎関節症」を引き起こしたり、、「口腔神経症」に発展することも有ります。

どうして、そのようなことが起こるかというと、15年もの間、奥歯のない状態が続くと、口腔内には大きな変化が現れます。
まず、抜けっぱなしだった、歯の部位の対合する部分の歯が、全部伸びてきます。
このことは、噛み合せを考えていく上でとても、重要なことになります。
噛み合わせは、上顎の歯の表面で作られる、仮想平面で規定を受けます。そして、この平面こそが、噛み合せを決定してしまいます。
この基準面が狂ってしまう為に、そのまま、噛み合せ調整を行なうと、とんでもないことが起こります。
まったく噛めない状態です。

そのブリッジを入れる時に、上顎の歯の長さを調整されたでしょうか?
一見素人にはわかりにくいですが、入れる歯とはまったく関係ない歯を削り、理想的な基準面を作成する必要があります。(もちろん、私は、必ず説明しますが・・・そうでないと、いきなり関係ない歯を削られる訳ですから、ビックリされますよね。)
これができていないと、いくら調整しても、かえって悪くなり、とんでもない状態になります。
最終的に「慣れろ!」とか言われて、患者さんも泣く泣く、こんなものかと思っているうちに、顎関節症を引き起こしていくことがあります。
時々、よくこんな噛み合せ似合わせで、よく入れたものだと、あきれるようなケースに遭遇することがあります。

さらには、これだけでは有りません。かみ合わせ調整で最も大切なことは、無意識のかみあわせに対する配慮です。
通常、歯医者の診療中に「噛んでみて下さい」とか「カチカチ、ギリギリしてください」とか言われて、噛んでいる状態は、不自然な意識した噛み合わせになります。
逆に、食事をしている時は、無意識の噛み合せです。
実は、この無意識の噛み合せこそが、大切なのです。この無意識中の噛み合わせのことを「臨床生理咬合」と呼んだり「習慣的噛み合せ」と呼んだりします。

つまり、先に、理想咬合平面を作り、その上で習慣的噛み合せをも、配慮した噛み合わせ調整が必要になる訳です。

時々、歯医者で噛みあわせ調整した時は良かったのに、帰ってご飯を食べるとなんだか変だな?と思うケースはこの習慣的噛み合せが反映されていないのです。

では、この習慣的噛み合せ(臨床生理咬合)は、どのような因子に規定されるのでしょうか?
それは、まず、あなたの場合でしたら、無意識に片方の奥歯がない状態の噛み合わせに15年も慣れています。
これは、片側の奥歯では噛めない為に、それを保証する為に、どこか噛める場所を探して噛んでいたはずです。
これは、よく口の中の歯の状態を観察すればわかりますし、無意識に何回も噛ませてみればわかります。
模型からも、歯の減り具合や、形などから推測できます。ひょっとすれば、顎のゆがみが生じているかもしれません。

それなのに、もし、チェアーサイドで安易に「カチカチ・・・ギリギリ」だけの審査で、ブリッジを作れば当然噛み合わなくなります。
なぜなら、あなたの覚えている無意識の、噛み合わせの顎の動きと、新しい歯並びがまったく、ちぐはぐになるからで、頭の中はパニックになります。
急に、使ったことのない筋肉を使ったり、動かそうとすると、歯と歯がとんでもないところでぶつかったり、どうにもならなくなります。

この顎の噛む神経は、直接隣接する聴覚神経や視神経、ひいては、自律神経系にも影響を与え、めまい、耳鳴り、吐き気など様々な症状を呈することになります。
顎を動かす、筋肉の頭蓋骨への付着部分は痛くなってきますから・・頭痛・肩こり、連続した筋肉群にも影響は波及し腰痛・姿勢の悪さを引き起こします。

こうして考えると、噛み合わせがいかに大切か御理解していただけると思います。

私なら、あなたのケースなら、このようにします。まず、入れたブリッジ外します。しばらく、そのまま過ごします。15年もそのままだったから、異常だけどあなたにとっては、無意識にインプットされてしまった、懐かしい噛みあせにもどります。。しばらくすると、今の症状はなくなります。
その状態を待って、大幅な噛み合わせの再構成(咬合再構成)を行ないます。準備が必要です。

まず、口の中の状態を見て、理想的な噛み合せを得るための、基準となる上顎の基準面を再構成します。
伸びきってしまった歯は、寸法を短く、傾いてしまった歯があれば、かぶせによって正常な姿に戻します。
こうしておいて、ブリッジの部分に仮歯を作ってみて、うまく噛めるか、チェックします。
しばらくは、仮歯(仮ブリッジ)でその噛み合わせに、慣れて頂きます。
もし、その間に、障害が出れば、仮歯ですからすぐに修復できます。このようにして、調整を繰り返し全体的な噛み合わせの再構成を行なって行きます。
場合によっては、下顎の違う歯まで修正することがあります。

こうしてから、新しい噛み合わせに慣れてきたところで、該当のブリッジを本格的に作成します。

重症例で、最終的に咬合再構成に1年を要したことも有ります。

これは、当然のことだと思いますが保険診療でも、まったく同じようにしています・・・臨床的生理咬合まで考えて補綴物を作っている先生は少ないように思います。

思うに、きっと、このような配慮をした場合、患者さんからしてみれば、関係のない歯を削ったり、かぶせをやり変えたりするのが、理解できないことがあたりしますので、説明できずに、そのまま安易に被せ直しするケースが多いのではないかと思います。
あるいはまた、噛み合わせについて、それほど知識のない先生が多いのかもしれませんが・・・

よく、雑誌などで歯医者パッシング記事では、このようなケースが問題になっているようですから・・

今のままでは、本当に「口腔神経症」や「顎関節症」を引き起こす可能性があります。
もう一度、症状をしっかり説明して、主治医に相談してみてください。


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