はじめまして、私は京都に住む大学生です。今回治療費についての悩みを抱え、ここへやってきました。実は今かかっている先生から先日、大きな虫歯の治療に入る前にこれからの治療についての説明を受けたのですが、治療に総額92万円くらいかかると言われてしまいました。内訳はオンレー3本で15万(1本5万)、MB4本で44万(1本11万)、ブリッジ1本で33万だそうです。クラウンは奥歯でも全てポーセレンだそうです。(ポーセレン以外はしたくないと言われました。)費用のこと以外なら信用できそうな歯医者さんなので、出来ればお任せしたいのですが、なにぶん学生の身でそんな大金がありません。親も学費で精一杯なので、頼ることが出来ません。(今まではバイト代で払っていました。)あとその歯医者さんには基本的には一括払いだが、3回払いにしてあげると言われました。

 自由診療は相場と言うものが無く、各先生方の方針によるものだと聞きました。私は地方から出てきてはじめては医者にかかりました。よって専門知識も無いですし、どの歯医者さんが良いかもわかりません。本当に相場は無いのでしょうか?やはりこの先生の言われたとうり3回ローンを組んで治療していただいたほうがよいのでしょうか?それとも自分の予算に合う歯医者さんに転院したほうがよいのでしょうか?もしそれなら京都のほうでお勧めされる歯医者さんがありましたら教えていただけませんか?(私の予算は40〜50万くらいです)また他に方策があれば教えてください。
 その歯医者さんから「どこへ行っても関西ではこれくらい取るよ」と言われました。本当ですか?6日後に返事をくれと言われ、今本当に切羽詰ってます。お忙しいでしょうがどうか返信をください。よろしくお願いします。    〈京都市 虫歯学生より)


基本的に自由診療は、そのドクターの裁量に任せられています。

(you wrote):(ポーセレン以外はしたくないと言われました。)

この件に関して、あなたは、どのように説明を受けましたか?なぜ、その先生は、どのような医学的根拠を持って、ポーセレン以外はしないと言われたのか?
私見を述べます:奥歯に対しポーセレンを使う場合。噛み合わせの力が大きいため、将来破切することがしばしばあります。臨床的習慣的噛みあわせは、チェアーサイドで診る噛みあわせと異なることが多いのです。ポーセレンと、自然の歯(天然歯)を比較すると、天然歯に比べてポーセレンは硬度が高いために向かい合う奥歯に対して摩耗が起こる可能性がある。(かみあわせにもよります)。
このような、場合、左右全体的噛み合わせに、不備が生じる恐れがあり、そうした配慮が必要です。
奥歯は、このような見地からすると、審美的にも目立たないので、他の金合金のほうが、よいのではないか?
どうしても、白くしたい場合は、これらの弊害を少なくした、新しい素材で、しかも、もう少し安くて済むものも、開発されています。
さまざまな、医学的根拠から発生する、補綴物の種類があってもいいと思います。少なくとも、自由診療で用いる素材だけでも幾とおりかの設計パターンがあると思います。
なぜ、ポーセレンしかだめなのか。ポーセレンにも長所と欠点があります。私なら、その欠点についても説明してますが....場合によっては、ポーセレンは、かえってだめなケースさえあります。

このような、比較を行ない、患者さんに提示し、それぞれのケースについて、費用も含めて患者さんと検討する必要があると思います。それが、自由診療におけるインフォームドコンセントです。
したがって、根拠を聞いてみてください。そのくらいの料金を要求するのだから、当然払う側の患者さんは、十分納得のゆく説明を聞く権利があります。
なお、ポーセレンにすると、最も高くなります。
私が今の歯科的知識を持って、治療を受けるなら、最も、よくかむ奥歯については、審美性(ほとんど関係ないと思いますが)を無視するなら、ポーセレンでは、しません。(私は、噛み合わせが悪いので)
ただし、その先生は、きちっとした、医学的根拠があって、そのように言われておられるかもしれませんので、よく聞いて、納得してください。

(you wrote):費用のこと以外なら信用できそうな歯医者さん

費用のこと以外の点について、あなたは、どのように、信用されたのでしょうか?
歯医者についての信用と言うのは、あくまでも、一義的には歯科医学的技術的信用、人的信用だと思います。費用については、あなたの経済基盤と治療によって受ける医学的効果と投資額(支払金額)のバランスシートで考えてください。

(you wrote):学生の身でそんな大金がありません。
それとも自分の予算に合う歯医者さんに転院したほうがよいのでしょうか?

保険診療では、だめなのでしょうか?ひとまず、社会人になるまで、保険診療範囲で、治療修復され、社会人になってから、気になる所だけ、自由診療による審美的修復をされたらどうでしょうか?そこは、保険診療なら治療を受けられないのでしょうか?自由診療しかしない方針の金持ち限定歯科医院もありますので確認してください。インプラントや矯正歯科,審美歯科を除き、そういうところは少ないですが。

(you wrote):あとその歯医者さんには基本的には一括払いだが、3回払いにしてあげると言われました。

通常支払方法は、医院により、まちまちです。私どもでは、10種類以上ののクレジットカードによる支払システムやカードを持っていない方のためにデンタルローンも用意していますが。その場合は、ローン会社との契約になります。支払回数は、自由です。そのような制度を持っている歯医医院も多いと思います。
一度尋ねてみてください。

(you wrote):自由診療は相場と言うものが無く、各先生方の方針によるものだと聞きました。

そのとおりです。医師の自由裁量権の範囲になります。経営方針、経営母体により、同じ物でも、金額は違います。同じコーヒーを飲んでも、ロイヤルホテルで飲むのとファミレスのロイヤルホストで飲むのとでは、名前は似てても、値段は格段に違います。でも、味は、値段の隔たりほどある物ではなく、似たようなもんです。
それと同じです。

(you wrote):どの歯医者さんが良いかもわかりません。

ホームページののコンテンツによい歯医者の選ぶ選択基準を載せています。御参照ください。これは、内情を知っている私が、患者さんだったらという立場で書いています。

(you wrote):本当に相場は無いのでしょうか?

あるようでありません。大阪では、セラミックスの白い歯は、私の知っている限りでは、6万円から15万円までばらつきがあります。6万円でも、土台は別料金であったり、診断料は、別であったりと綜合トータルで、標準的には、8万円〜10万円くらいが平均です。
東京では、2割ほど高くなります。(10万〜20万)安ければ良いのかというと、そうでもありません。材料が粗悪であったり技工が手抜きであったりします。
ただ、患者数を制限して、院内が、豪華な作りであったりすると、さらにその分、場所代なり雰囲気代なりの付加価値で、当然高くなります。それだけの経費が料金に反映されます。
このことは、いずれ料金については裏話も交え近いうちに公開予定のコンテンツを準備しております。その中で、詳しく解説していきます。(近日中です)

でも、そういうのが好きな人も患者さんの中にはいらっしゃいますので。
その辺の価値観は、患者さん側の問題です。高級であることと歯科医学的に優れているかの相関関係は、あまりありません。保険でも、素晴らしい診療をされている先生も多く知っています。自費診療は、その実績に基づいて要求されてくるものだと思います。

you wrote):京都のほうでお勧められる歯医者さんがありましたら教えていただけませんか?

知りませんね。私が直接すすめる場合は、人間的にその先生を個人的に知っていて、歯科医療への取り組み方とか、人間性とか、技術と分かっていて、しかも、私ならこの先生に見てもらおうと言う先生しか紹介しません。大阪と大津なら紹介できます。

(you wrote):その歯医者さんから「どこへ行っても関西ではこれくらい取るよ」と言われました。

そんな事はありません。私の考えている相場よりは高いですね。でも、それなりの付加価値があるのなら、決して高くありません。
それは、患者さんでないと分かりません。ちなみに、その先生のおっしゃる関西に行って、初診料を払って、同じ設計で、相談してみてください。
私も関西にすんでいますが、そうは、思わないのですが。(・_・?)ハテ?どこの関西でしょう?山本寛斎なら、高いですが..私は、好きではありません。

アドバイスです。
やたら、自費をすすめる先生は。基本的に私は信用しません。
また、一方的にある方法を勧める先生も、同じです。
修復(ブリッジとか被せとか入れ歯)は幾とおりもあります。
素材により特性も料金も違います。症例によっては、高い材料の使わないほうがよい場合もあります。
それを理解した上で、患者さんが、一番高級な素材でして欲しいというなら別ですが。

最近の、歯科経営雑誌には。「自費率アップ!!その戦略」と言うような、勧め方のノウハウまで書かれています。
経営的立場で言えば、歯科医院は、生き残りのために、自費主導型にシフトしようと言う動きが、あります。でも、それも、最近は、不景気で、また、患者さんがいろいろな情報を身につけて行き詰まってきています。
東京の大手の医療法人は、自費主体型から予防中心型に変更したと言うのが、日本経済新聞にニュースとして載るくらいです。
でも、これは、税理士の立場で言うことで、医学的立場では別問題です。どんな歯科医院も、奇麗事を行っても、基本的に個人経営の零細業種です。経営が成り立った上での診療ですから、ある程度の利益を上げなければ行けないわけです。売り物が人の健康や、満足やお金ではかれないものだけに、その狭間で、揺れていくわけです。

歯科医院側からすると、自費診療は、肉体的に楽で、現金がすぐ入ってくるし、利益率は大きいし言うこと無しです。
その分ゆとりを持って診療できるからというのが大義名分です。

しかし、自費診療で治療を受ける治療も、それなりに付加価値があるから、高いわけで、要は、何回もいたるところで、書いておりますが、その治療によって受ける恩恵と、経済的出費のバランスシートの問題です。自費診療は、きりがないのが現実です。高くしようとすれば、いくらでも高くできます。

だからといって、自由診療が無駄だということではありません。それなりに、手間と使う材料が違うわけで。費用にマッチした耐久性なり、使い勝手なり、審美性が付与されます。
前提として、そこへ行きつく歯科治療技術がきちっとしていることと、メインテナンスが確実に行われるということと。其のことで、どれほど患者さんが、幸せになれるかということにつきます。



後、注意点としては、見積書や、契約書(保証など)、支払領収書は必ず発行してもらい、保存しておいてください。後々、トラブルが発生した場合、重要な書類になります。



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