はじめに

もし、「わたしは、最近あごの調子が変だわ?」「なんとなく、口が開きにくいな」「あごの関節が痛いぞ」と言うあなたのために、ここでは、どういうふうに顎関節症は診断され、治療後のアフターケアーについて情報を提供します。
顎関節症はよく間違って顎関節内部障害と同じに扱われます。

顎関節症には、多くの症状が認められます。顔面筋(顔面の両側にある咬筋)、顎関節、顎関節に付随している靭帯、その他いろいろな構造がこの病状に関係しています。

顎関節部の異和感、雑音、また一時的な開口障害などは、アメリカでは国民の75%が体験しています。通常顎関節症の微候や症状は、20代にあらわれます。しかしながら10代の者にもたびたび顎関節部のクリック音が認められると報告されています。
顎関節症の微候や症状を訴える人はかなりの数にのぼりますが、実際に治療が必要とされるのはそのうちの5〜7%の人達です。多くの人は治療しなくても症状は改善されます。

この疾患の最も特徴的な症状は、顎関節部の耳の前あたりの痛みと顔面の筋肉の痛みです。不快感は、片側もしくは両側にあらわれます。また、耳痛、頭痛、顔の痛みなどを伴うことがあります。
痛みは突然やって来ます。また、その苦痛の程度は徐々に厳しさを増し、痛みのある時間も長びきます。あなたは自分のこの疾患が、ずいぶん長く続いたり、慢性化したと感じるでしょう。慢性的な痛みの性質から顎関節の治療には長期の日数を要することを理解するのは大切です。また、この治療には、肉体的な治療、薬物治療、短期間使用の歯牙全体を覆う可徹性の歯科装置、その他いろいろな種類の治療法があります。


歯科医は通常できるだけ簡単な治療計画をたてます。そして、その患者の結果が思わしくない場合は、さらに進んだ治療に移るように計画をします。もし選ばれた治療法が、功を奏さなかったり、また苦痛がさらに増大するようであれば、さらに高度な診断や評価が必要となるでしょう。

顎関節治療には、筋肉、骨、神経など解剖学的知識、心理学や、内科的知識が要求され高度な、総合的知識が必要です。

ここでは、通常よくある質問にお答えしていきますが、すべての問題点をカバ−し、記述しているわけではありません。あなた自身の病状をできるだけよく知ることが一番大切です。そしてかかりつけの歯科医に相談して下さい。

ただし、その歯科医はあなたの病歴をよく理解し、広範囲にわたる病状に詳しい調査や分析を行い、その上で治療計画を立てるか、他の専門家にあなたを紹介し、さらなる助言を求めるような人ひとでなければいけません。

不十分な治療を受けた場合、かえって悪くしたり、より、治療が長引いてしまうことがあります。

ここに書かれている顎関節とそれに伴う構造について、それがどのように動いているのか、どのように感じるのか、どのように治療されるのかといった内容が、あなたを苦痛から解放し、再び顎を良好な状態で使えるようにさせ、不快感から解放されるように願っています。