口臭の種類



ここでは、口臭を、従来の報告や学術的報告をベースにして、日ごろの口臭外来の実際から得た知見を加味し、口臭の概念について私独自の分類を試みました。


口臭
人が会話や、呼吸をした時に出される息を、他人が不快な臭いとして、感じた場合を口臭と言う。
(これまで、多くの解説書が、口臭と定義しているものです)
さらに私は、他人には感知されないが、自分自身が、実際に感じてしまう、自身の口腔内から発生する臭いも含めます。


口臭の分類
  1. 生理的口臭・・・・・健康な人にも認められる、人種、民族、固有の正常な口臭
    さらに、以下のように分類される。
    • 起床時口臭・・起床直後の不快臭
    • 緊張時口臭・・極度の緊張時における、口腔内の乾燥と、不快臭
    • 老人性口臭・・加齢による特有の口臭

  2. 食物由来の口臭
    食物(例えばにんにく臭)や飲料(アルコール類)の摂取に伴う口臭


  3. 他臭(他覚的口臭)
    これがいわゆる、口臭(真性の口臭)で、次のように分類する
    • 口腔内に原因がある口臭-口腔内の微生物・唾液中の酵素反応によるもの
    • 口腔外に主原因がある口臭-唾液そのものに含まれる臭気物質
    • 呼気性口臭ー呼吸気管を介し肺胞におけるガス交換によってもたらされる、基礎疾患由来の口臭

  4. 自臭(自覚的口臭)
    従来精神的要因による、他人が感知しない実態のない口臭として位置付けられていたが、実際には、自己の口腔内に発生する、臭気を自分自身だけが感じてるケースがあります。
    この口臭の本体として他覚できない呼気性ガスの可能性がある。
    このようなケースでは、しばしば、そのことが不快に感じたり、他臭的口臭への波及を恐れ、「口臭恐怖症」を引き起こすことがあります。

自臭症と
口臭恐怖症
(私見)

多くの「口臭外来」治療において、口臭測定器において陰性で、他覚的口臭を認めず、通常の歯科的処置で改善を認めないケースは、心因的要因の「自臭症」と分類されてきた。
「自臭症」の診断を受けると、通常内科での精密検査後、心療内科や精神科での治療が行われることになるが、多くは改善していないのが、実態です。

実は「自臭症」と診断された多くのケースに、自分自身が本当に臭気を認知しているケースがあります。
これを「自覚的口臭」と私は分類します。本体は上記の呼気性ガス(肺胞内のガス交換によってもたらされるガス)ではないかと考えています。

「自覚的口臭」多くの場合は、呼気性ガスであると仮定すると、原因が存在し、完治させコントロールが出来ます。
アメリカにおける専門医の分類では次のようなケースが該当するとおもいます。
  • Olfactory Hallucination(幻覚的口臭)
  • Self−resporting Hakitosis(自己認識口臭)
他院で「自臭症」と診断された大半の人は、原因療法と、精神療法で完治する可能性のある「自覚的口臭」ですが、なかに精神科的治療を必要とする人が存在します。

「口臭恐怖症」(と私は定義します。)

このケースでは、自分自身が自覚的口臭または、他覚的口臭の消えたことを、治療によって認知しています。
かって、口臭により社会的疎外を受けた経験者(いじめや、姑息的いじめ)に多く、常に、相手の挙動に対し不安感を持ち、最終的に対人恐怖症、ないしは自閉的状況に陥っている人です。
「今は口臭はない、あるいは、よくわからないが、次の瞬間口臭がでたら・・・」というふうに、常に恐怖におびえます。このようなケースでは、精神科におけるケアーが有効で、精神科医との協力したケアーが必要です。
また、歯科における治療においても、精神科的アプローチを導入した取り組みが必要になります。

これは、口臭治療では先を行っているアメリカにおいても、同じような病名が付与されています。
  • Imaginary Halitosis (妄想的口臭)
  • Halitophobia(口臭恐怖症)

ただ、アメリカにおいても自臭症については、はっきりとした分類がなく、分類も統一したものがないのが現実です。したがって、その取り組み方も、まだ十分に確立していません。
ただ、「自覚的口臭」と「口臭恐怖症」を区別していかないと、永久に従来の概念として、定義されている「自臭症」の病態について、明確な解釈を誤る可能性があるように思います。あるいは、治療法が確立できない可能性があります。