いま口臭を気にする人が大変増えています。なぜでしょうか? 

Q:いま口臭を気にする人が大変増えています。なぜでしょうか? (報知新聞'99・5月7日)
もともと日本人はきれい好きで、においに敏感な人が多いためです。10年くらい前、朝シャンが大流行したことをこ記憶の方も多いでしょう。確かに長い髪の女性が、清潔そのもののかぐわしい香りを放ちながら街中を歩いていると、つい後をついていってしまいたくなるのが人情。きっとそんな経験はだれでもお持ちのことでしょう。

さて、こと口臭に関する限り、そのあるなしはもちろんのこと、それがどんなにおいなのか、自分では全く分からないのが当たり前。自分のにおいには慣れてしまっているためで、自分の口臭はどうしても分からないというのがふつうです。だれでも自分には人が嫌がる口臭なんてないよ!と思っている人が多いと思いますが、なかなかそうもいかない社会の現実があるのです。

小学校や中学校で宿題を見せあっている最中、相手の話す息が臭かったらどうしましょう?「おまえ臭い!あっちへ行け!」ということになりかねません。小・中学校時代は率直にずけずけものを言う年ごろですから、やむを得ないことかも知れません。しかし、これがとても重大な問題。人によっては、このささいな出来事がきっかけで、口臭問題が芽を吹き出し始めるのです。

とても元気で快活な人でも、他人から口臭を2〜3度指摘されたり、態度で示されたら、それは大変なショック。大きな心の傷を受けることになります。よい香りは愛(め)で、悪臭は徹底的に忌み嫌うわが国の国民性からすれば、本人にとって口臭の指摘は恥であり、取り返しのつかないことになったと皆さん受け取るようです。
元気もうせ、さびしく無念でやるせない思いが続くといいます。

口臭 ”におい”には6つのバリエーション
それでは一体、口臭とは、どんな"におい"なのか。数多くの患者さん方を診断し治療した私の経験から、大きく6つくらいのバリエーションに分けられます。それは
  1. どぶのようなにおい
  2. うんちのようなにおい
  3. 野菜くずの腐ったようなにおい
  4. ご飯のすえたようなにおい
  5. アンモニアのようなにおい
  6. 魚の腐ったようなにおい・・・・などです。

内田安信(うちだ・やすのぶ)1926年、埼玉県生まれ。
東京医科大学耳鼻咽喉科博士課程修了。
87年、同大学病院に日本で最初の口臭外来を開設した口臭治療の第一人者。日本口腔学会会長、日本歯科心身医学会会長などを歴任。現在、明倫短期大学(新潟市)学長。著書に「口臭を消す」など。
                                              報知新聞'99・5月7日