皮膚物質で人工唾液
福岡の歯科医師考案
口腔乾燥症に効果

シェーグレン症候群や、精神的要因で発生する自律神経失調症候群、また、習慣的口呼吸や加齢による口腔内乾燥は、口臭に密接に関連し、このような人に対して、うがいは、更なる口腔内乾燥を誘発し悪循環で、唾液の分泌促進が唯一の解決策です。

洗口液に代わる有効な手段として、人工唾液があるのですが、従来の製品は、実際に使ってみましたが、唾液には程遠く粘性に乏しく、使用感が悪いものでした。

それに変わる物がないかと探していたところ、手軽に出来る有効な代用品が発案され、さっそく治療への応用を検討を試みます。

これは、恒常的口腔乾燥のある口臭患者には朗報ではないかと思います。

また新しい補助的治療法のひとつとして有効な手段になる可能性があります。

さらには、口腔内乾燥による摂食障害や味覚障害・舌痛のある患者には有効な手段になり得ます。



国立療養所福岡病院(福岡市南区)の柿木保明・歯科医長(43)は、口の中が異常に乾燥する口腔乾燥症の患者に、皮膚などに含まれる物質「ヒアルロン酸」を混ぜた蒸留水を人工唾液の代わりに使い、症状の軽減に効果を上げている。

口腔乾燥症は薬の副作用や老化、ストレスなどが原因で発症。高齢者に多く、味覚低下や、体が弱っていると細菌感染症にかかりやすい。

従来は、口内に水を主体とした人工唾液を吹きつけるなどしていたが、粘性が弱くすぐ流れ去って効果が持続しなかった。

柿木医長は皮膚や眼球、関節などに含まれるヒアルロン酸に注目。ゼリー状で保湿性がが高く、化粧品や健康食品にも利用されている。

蒸留水に混ぜて患者15人の口内に噴霧したところ、6-1時間の持続性があり「食事の際 飲み込みやすくなった」「舌の痛みがなくなった」などの効果が現われた。

また、口内の乾燥度の測定は患者にガムを噛ませて機器で唾液量を調べるため、ものをかんでいないときだけ乾燥する患者には不向き。
そこで柿木医長は涙の量を調べる試験紙を代用。目盛りをつけた試験紙を舌の先端に付着し、15秒御と30秒後に唾液を吸い取った値を比較する方法を考案した。

柿木医長は「新しい人工唾液は寝たきりのお年寄りにも容易に使用できる。新たな測定法も潜在的な患者を見つけるのに有効」と話している。